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2018/09/26

「アカとブルー」の動画投稿禁止について考える

はじめに

皆さんは「アカとブルー」というゲームをご存じでしょうか?

「アカとブルー」は、2017年8月10日にiOS/Android向けに発売された弾幕系のシューティングゲーム(STG)です。開発したのは、たった2人の従業員で運営しているという「株式会社タノシマス」さんです。

ボムを使って弾幕を消すとエネルギーが溜まり、再びボムが使用可能になるというシステムが特徴で、テンポ良く展開される熱いストーリーと、難しいながらもリトライしやすい工夫がなされたシステムのおかげで、非常に遊びごたえがあります。お値段も960円とお手頃なので、まだ遊んだことがないなら是非買うべきゲームです。
(まあ、この記事を開くのは既にプレイした方が大半ではないかと思いますが)

そんな大変すばらしいアカとブルーですが、みなさんは約半年前に、このゲームの動画の投稿をタノシマスさんが禁止したことを覚えていますでしょうか?

この記事では、動画の投稿が禁止されるに至った経緯について振り返った上で、このようなことになってしまった原因が何であるか、私個人の考えと意見を述べたいと思います。

このような記事を公開した目的の1つは「禁止されていることを知らずに動画やスクリーンショットを公開している人」に知ってもらうことです。しかし、禁止されていることを知っている人でも、その経緯については色々忘れていたり知らないこともあるでしょうし、気づいていないこともあるはずです。そのため、改めて動画の投稿が禁止された経緯をきちんと記録に残すことも目的としています。

色々と書いていたら約25000字と異常な長さになってしまいましたが、時間がない方もせめて経緯の部分だけでもは読んでいただけると幸いです。


禁止されるまでの経緯

まずは動画の投稿が禁止されるまでの経緯を、ゲームの発売から簡単に説明します。

2017年8月10日

アカとブルーがApple StoreとGoogle Playにて発売されました。

2017年8月18日

発売から約1週間後のこの日に、タノシマス公式アカウントから以下のツイートがありました。
リンク先のURLは、後に「動画投稿禁止」の内容で上書きされてしまっており、当時の記事の内容を読むことはできませんが、私がスクリーンショットを撮った2018年2月18日の時点では、本文は以下のようになっていました。
内容は要するに「ネタバレ禁止」ということです。シナリオモードというのはキャラクターの会話と画面左上のワイプの有無を切り替えることのできる機能で、動画の配信時にネタバレを防止することができるほか、何度もプレイしていて会話を聞き飽きた方向けの機能でもありました。

この記事は動画の投稿が禁止されるまでの間、Twitterでbotを使って毎日告知が行われており、「配信されてから約半年」とあるように、時々内容が更新されていたようです。

2017年10月7日

著作物について」という記事が公開されました。

この記事も同様にTwitterでbotを使って毎日告知されていましたが、12月11日を境に告知は止まっています。なぜこの記事に触れたかは、後で説明します。

2018年2月17日

この日の16時頃に、ある動画がニコニコ動画に投稿されます。投稿者は様々なゲームの「VOICEROID実況プレイ」と呼ばれる動画などを投稿されているUDMPさんという方です。あえて名前を挙げましたが、決して「晒す」ことが目的ではないことを先に言っておきます。

投稿された動画がこちらです。
この動画は既に削除されています。

VOICEROID実況プレイ」というのは、VOICEROIDという合成音声を生成するソフトウェアを使ってキャラクターに声をあて、ゲームの実況プレイを行わせるという動画のことです。私も実際にこの動画を見たのですが、「ネタバレ禁止」のルールには違反しておらず、その他にもおかしな点があるとは感じませんでした。

この動画の内容については、経緯の次に詳しく説明します

同日23時頃、UDMPさんは自分のTwitterアカウントに、タノシマス公式Twitterアカウントから動画の削除を要請するDMが届いたとツイートします。UDMPさんは要請を受けて直ちに動画を削除し、メールを通して謝罪しました

UDMPさんは、この時のタノシマスさんとのやり取りについて削除後の動画のコメントやTwitter上で触れていますが、削除の理由および「どのような点を修正すればよいのか」について問い合わせても「著作権を侵害しているため投稿はできない」という以外の説明はなかったとのことです。

この動画以外にも投稿されている動画はYouTube等にも多数あり、中には「ネタバレ禁止」を守ってすらいない動画もあったのに、この動画だけが理由の説明もなく削除されたことで、少数ながらタノシマスさんの対応に疑問を持つ人もいました。

2018年2月19日

動画が投稿されてから、2日後の14時頃に、タノシマスさんはTwitter上で動画投稿の禁止を告知しました。

『アカとブルー』の動画投稿・配信を禁止
先ほど述べた通り、この記事は「ネタバレ禁止」の記事を上書きする形で公開されました。禁止する理由については「一部の方に『上記の条件を満たしていれば、弊社の所有する著作物を自由に使用しても構わない』といった誤解を与えていた」都度判断を行うと開発業務に支障を来たしてしまう」「『アカとブルー Type-R』の開発に専念したい」と説明しています。

ルールの内容は、実際には動画投稿だけでなくスクリーンショットの公開等にも影響するもので、
  • 企業ロゴ、タイトルロゴの使用禁止
  • ゲーム内画像、宣伝用画像の使用禁止(イラストやコスプレは可)
  • シナリオや脚本の公開禁止(一部引用は可)
  • 音楽、音声データの使用禁止
と、大きく分けて4つの禁止事項が設けられました

ただ、このルールはそのまま受け取ると「過去に投稿された動画」やゲームの機能である「ハイスコアの投稿機能」で公開されたスクリーンショットも削除しなければならないと受け取れるもので、実際に何人かの方は告知の直後に投稿を削除するなどの対処をとりました。

そのことについて指摘を受けると(私も指摘したうちの一人ですが)公開から約30分後に加筆修正が行われ、
  • ハイスコアの投稿は可能(ただし改ざんは禁止)
  • 過去の動画は字幕等の最低限の編集しか行っていないものなら残してよい
という条件が追加されました。

この告知に対するプレイヤーの反応は様々で、どちらかといえば肯定的な意見や、タノシマスさんに同情する意見が多かったように思いますが、否定的・懐疑的な意見もありました。

当時、私もアカとブルーのプレイ動画を投稿しようと思っていた人間の一人でした。このゲームは、リトライしやすいとは言えそれなりに難しいですし、Twitter上の反応を見ていても途中でつまづいている人がそこそこいるようだったので、攻略方法を解説する動画を作ろうと思っていたのです。それゆえにこの発表がされた時は非常に残念に思いました。

告知から約半年が経った今も、動画の投稿は禁止されています。


投稿された動画の内容

続いて、動画の投稿が禁止されるきっかけとなったUDMPさんの動画がどのようなものであったか、投稿が削除された時点で残しておいたメモを基に、私の覚えている限りで詳しく説明したいと思います。

UDMPさんにとっては一度削除した動画の内容について明かされることは不本意であるかもしれませんが、他の方が「なぜ動画の投稿が禁止されたか」を知る上で重要な情報であると思いますので、公開させていただきます。また、UDMPさんやタノシマスさんのどちらか一方に許可を取った上で記事を公開するのは公平ではないと思ったので、事前に許可を得ることはしていません。

まず、改めて掲載しますが、動画はこちらです。

投稿されたのは2018年2月17日16時21分です。経緯でも述べた通り、この動画はいわゆる「VOICEROID実況プレイ」(略して「ボイロ実況」)であり、VOICEROIDという音声合成ソフトウェアを用いた実況プレイ動画でした。

前半部は、4人のキャラクターがステージ1の実況プレイをするものでした。プレイしていたのはAndroid版ですが、録画をするとなぜか激しい処理落ちが発生してしまうとのことで、全体的に非常にスローになっている様子を収めていました。

この時、キャラクターが何らかの会話をしていたのですが、「処理落ちは環境に原因があるかもしれないので、iOS版なら撮影できるかもしれない」という会話があった程度しか覚えていません。

後半部は、「琴葉茜」と「琴葉葵」という赤と青がイメージカラーのVOICEROIDのキャラクターが、ゲーム中の「アカ・シンク」と「ブルー・サーニ」になりきって1面と2面をプレイするという内容でした。iOS版を改めて購入した上で撮影していたため、処理落ちは改善されていました。

ここでは、シナリオモードをオフに、ボイスの音量を0にし、動画編集によって画面左上にワイプを追加することで、アカ・シンクとブルー・サーニを琴葉茜と琴葉葵別のキャラクターに差し替えるという手の込んだ編集が行われていました。

そのほかの演出としては
  • 前半部のオープニングとして、タノシマスさんのロゴを手書き風にアレンジしたものが表示された。(ちょうどこんな感じのやつ)
  • 前半部と後半部の間に、アカとブルーのトレーラー映像をVOICEROIDのキャラクターで再現した映像が挟まれ、サウンドトラックをBGMとして用いていた。
  • 後半部のオープニングとして「アカとブルー」というタイトルロゴに「ネ」の文字を付け加えることで「アカネとブルー」にしていた。
などがありました。

「ネタバレ禁止」のルールについては把握していたようなので、前半部も後半部もネタバレに繋がるような情報は伏せられていました(黒幕の名前など)。続編を作ることを想定した動画でもなかったと思います。言葉だけでは分からない部分もあるとは思いますが、これが大まかな内容です。

時々動画の投稿が禁止された理由について「ルールの穴を突いた動画だった」「悪意のある動画だった」という憶測に基づく批判が見られましたが、決してそのような内容ではありませんでした。


動画が削除された原因は?

この動画に対し、タノシマスさんは投稿から7時間で「DMでTwitterアカウント宛てに連絡を取る」という異例の方法で削除を要請し、そのわずか2日後に動画の投稿を全面的に禁止したのです。そこまでする程に、タノシマスさんはこの動画の内容をかなり問題視したものと思われますが、具体的に何が問題だったのかは説明されていません。

まず第一に考えられる理由は、「ロゴの使用・改変」や「BGMの使用」などです。企業の使用するロゴというのはいわば「看板」あり、これを不用意に改変する行為はブランドイメージの棄損する恐れがあると受け取られる可能性もあります。これについてはUDMPさんもまずかったかもしれないと考えているようです。BGMの使用についても「動画投稿禁止」の記事にあるとおり、サウンドトラックを丸々投稿している動画を削除した例もあるため、原因の一つであると考えられます。これらの理由ならば、少なからず企業に不利益を与える可能性があるという点で、削除が必要だったという説明はできます。

しかし、それならばなぜ削除の理由を「著作物だから」とぼかしたのでしょうか? 著作権に基づいて削除を要請する際、詳細な理由を説明する義務があるわけではないのですが、ちゃんと説明した方が穏当に解決できるはずですし、再発防止の観点からも必要なはずです。そして何よりこのような理由だけで、動画の投稿を全面的に禁止するとも考えにくいです。

ここからは私個人の考えですが、UDMPさんの動画を削除し、動画投稿を禁止(というよりは著作物の利用をほぼ全面的に禁止)したのは、単にタノシマスさんがこの動画を不快に思ったという、感情的な理由ではないでしょうか

「ロゴの改変」や「BGMの使用」についても、タノシマスさんは良く思わなかったでしょうが、おそらくこの動画で最も不快に思われたのは「キャラクターの差し替え」という部分にあると推測しています。

これまでの活動からも、私はタノシマスさんがキャラクターやシナリオを非常に大切にしていると感じています。だからこそシナリオモードの切り替えを実装し、キャラクターやシナリオを「ゲームを購入していない人」や「まだクリアしていない人」から守ろうとしたのです。また「動画投稿禁止」のルールにおいても「イラスト」「コスプレ」「セリフの一部引用」は例外的に認めるなど、主に「キャラクターを大切にしてくれた人」に対してはこれまで通り活動できるような配慮が見られました。

そんなタノシマスさんから見たUDMPさんの動画は「自分の作ったゲームから、自分の作ったキャラクターを消され、代わりに全然知らないキャラクターを入れられた」ように映ったでしょう。しかも「キャラクターを守るために用意したはずのシナリオモードを『悪用』された」と感じたはずです。自分が同じ立場だったとしたら、動画を削除したいとまでは思わないでしょうが、考え方が違えば非常に嫌な思いをする可能性はあるはずです。

しかし、「キャラクターの差し替え禁止」というあからさまなルールを設けるわけにもいかず、だからといって「編集」自体を禁止したとしても、なぜ禁止することが必要なのかという理由を説明することも難しいです。UDMPさんに「どこを修正すればよいのか」と問われた際にも、答えに窮し「著作物だからダメ」と答えるしかなかったのではないでしょうか。

それに、編集された動画の投稿を禁止しても、不快な動画がルールをくぐり抜けて投稿されないことは保証されません。だから、タノシマスさんは「ルールによって動画の内容を制限することで、不快な思いをすることを防ぐには限界がある」と感じ、結果として動画の投稿を禁止すると決断したのではないかと思います。

「ネタバレ禁止」の記事には「※株式会社タノシマスは投稿の推奨は一切しておりません」という注意書きがありました。改めて見るとこの一文を書く必要は特にないはずで、これはタノシマスさんが、自身の著作物を多数の人が利用することについて不安を覚えていたことの現れだったのではないかと思います。

しかしこれは、タノシマスさんが感情的な理由で動画の投稿を禁止していて、「『アカとブルー Type-R』の開発に専念したい」という説明は建前だとしたらの話です。実際、あることに気づくまでは、本当にタノシマスさんが感情的な理由で行動するような企業であるかは疑問でした。

その「あること」というのは、2つあります。それについて今から説明していきます。


記事の日付の改ざん

まず1つめの理由は、投稿された記事の日付が改ざんされていたことです。いきなり何のことかと思うかもしれませんが、「動画投稿禁止」の記事の右下にある、投稿日時を見てください。


記事の右下にある日付は「2018/02/16」となっています。そして記事の文中には「2018年2月17日制定」とあります。

しかし、経緯でも説明した通り、UDMPさんが動画を投稿したのは「2018年2月17日16時21分」です。そして、タノシマスさんが上記の記事のURLを添えて、動画の投稿を禁止するとツイートしたのは「2018年2月19日14時22分」です。この記事の日付は、少なくとも19日中にはすでに書き換えられていたことが分かっています。

実は多くの人が気づいていなかっただけで、タノシマスさんが動画の投稿を禁止した後にUDMPさんがルールを破って動画を投稿し、記事の投稿から3日も経ってツイートをした、ということでしょうか? しかし、私の知る限り経緯で挙げたスクリーンショットを取った2月18日までは、この記事は「ネタバレ禁止」のままだったはずです。他にも何人かの人は、UDMPさんの動画が削除されたと知ってルールを再確認したでしょうし、この記事が本当に2月16日に公開されていたとは考えにくいのです。

日付がおかしい記事がこれだけだったなら、私の勘違いかもしれませんし、操作ミスで日付を誤って設定してしまったとも考えられます。しかし、他にも2つ日付が巻き戻っている記事があったのです

実は「ネタバレ禁止」の記事も、「2017年8月18日」に「【動画の投稿、配信について】 アカとブルーの公式サイトのニュース部分にまとめました」というツイートで公開されたと思われますが、投稿日は「2017/08/10」(発売日と同日)になっています。

そして、経緯でも挙げた「著作物について」も、最初にツイートされたのは「2017年10月7日」なのに、同じく投稿日が「2017/08/10」になっています。

「ネタバレ禁止」と「著作物について」と「動画投稿禁止」、日付の改ざんが疑われる3つの記事は、いずれも著作物に関する記事です

最初の2つの記事が公開された経緯については詳しく知らないので推測の域を出ませんが、タノシマスさんは著作物に関して何かトラブルがある度に、日付をわざと巻き戻して記事を公開していたのではないでしょうか?

「ネタバレ禁止」記事については、発売直後にネタバレを含む動画が多数投稿されたことを受けて公開されたと考えるのが自然です「著作物について」も、内容から察するに企業ロゴやキャラクター画像を無断でアイコンに使用しているアカウントが存在していたことが原因だったのではないでしょうか。

私が見た限り、これら3つの記事以外でツイートされた日付と投稿日にズレていたことはありませんでした。「偶然」著作物に関する記事だけで投稿日の設定ミスが発生したなどとは考えにくいですし、これはほぼ間違いなく意図的な改ざんによるものです

こういうことをすれば、UDMPさんが「ルールが先にあったのに、そのルールに反する動画を後から投稿した」という誤解を生む可能性があったことは容易に想像できたはずです。そうなることを期待している、いわば「未必の故意」だったのかもしれません。実際そのように誤解した人がいなかったのは幸いでしたが、日付をわざわざ確認する人なんて多くないとはいえ、非常に自分勝手で危険な行為です

単に自己満足だったとも考えられます。3件ともタノシマスさんにとって想定外の事態で、意表を突かれたことの悔しさから、自分しか見ていないつもりで日付を書き換えたという可能性もあると思います。

どんな理由であったにせよ、実際の影響の大小にかかわらず、自分に都合良く見せるために嘘の情報を伝えようとすることは、企業として以前に人として間違っています。「まだクリアしていない人のため」や「Type-Rを早く完成させたい」という説明も、より疑わしいものになると言わざるを得ません。


英語版アカウントでの対応

もう1つの理由は、タノシマスさんの公式の英語版アカウントでの発言です。

2017年9月28日のツイート

「タノシマスは従業員2人の小さな企業です。あなたの資金で実現できることには限りがあります。可能ならば、リクエストを送るよりも宣伝に協力してください。海外での販売は上手くいっていません。」

2017年10月1日のツイート

「多くの人がAndroid版のアカとブルーをコピー版でプレイしていて、売上が非常に少ないです。この状況が続くようなら、タノシマスは翻訳版を提供することはありません

文法の間違いや単語の間違いはありますが、言いたいことは理解できるので、ある程度意訳しています。その点について責めるつもりはありませんが、これだけ拙い英文であっても、海外での販売が思うように行っていないことに対する苛立ちと、相手に対する敵意は強烈に伝わってきます

1つめの発言は、多少オブラートに包んで伝えようとはしていますが「少ない金を払ったぐらいであれこれ注文を付けるな、それより宣伝しろ」と言っているようなものです。プレイヤーに対し「宣伝しろ」などという注文を付けるのは、少なくとも企業の発言としていい印象を受けない人が多いのではないかと思います。大して売り上げがないのに、リクエストを多数送ってきた海外のプレイヤーに対する、強い苛立ちが見て取れます。

2つめの発言はもっと過激で、Android版の売り上げが少ないことをコピー版のせいであると断定し、その責任を海外のプレイヤー全てに押し付けるかのような発言をしています。正規に購入したプレイヤーにはどうすることもできない問題であるにも関わらず、コピー版の存在を理由に「翻訳版を提供しない」というのは筋が通っていないですし、何よりこの発言は「コピー版で遊んでいるのは海外の人間だ」と決めつけているに等しいです。

結局のところ今現在も翻訳はされておらず、それが単に「海外での売り上げが期待できないから」であればよいのですが、このような発言がある以上「腹いせに翻訳版を出さなかった」のではないかと疑ってしまいます。

また、2つめの発言に対するプレイヤーの、

「これにはがっかりだ。タノシマスさんはただの[not just]小さなスタジオではない(だから損害も大きい)し、このゲームはたった8ドルなのに」という発言に対して、
タノシマスが小さなスタジオじゃないだと? 私たちは小さなスタジオです。私が意味を取り違えていたらすみません」

と、相手の発言を早とちりして攻撃的な返答をしています。

しかも、相手のツイートが送られてから、タノシマスさんが返答するまで6分しか経っていません。相手は上手く伝わらなかったことを謝罪してくれていますが、意味を取り違えているかもしれないと思っていたのに、なぜもっと冷静になれなかったのでしょうか。

これらのツイートは、英語に慣れておらず文法が拙いことを差し引いても、企業として真っ当な対応ができているとは言い難く、タノシマスさんが冷静な判断力を著しく欠いているように思えます。また日本語での対応と比較すると、個人的には相手が外国人だからと偏見を持って対応しているような印象も受けました。


タノシマスさんのやり方について思ったこと

私は過去のこうした事例を知ってしまったからこそ、タノシマスさんが「動画の削除」や「動画投稿禁止」などにおいて、感情的に判断していたのではないかと考えています

そもそもこうした事例を抜きにしても、投稿から7時間で削除、2日で動画投稿全面禁止などというのは、きちんと考えて決めたにしては時間が短すぎますし、「ハイスコアの共有機能」や「過去の動画の扱い」を失念するなど確認も不十分でした。

また「イラスト」「コスプレ」「セリフの一部引用」を容認しているのは「配慮」というよりは、一部の特別扱いしている人に対する「えこひいき」にも思えます。(アカとブルーに詳しい人なら「コスプレ」「セリフの一部引用」などが誰を指しているかピンと来るはずです。)

そういった理由からも、「開発業務に支障を来していた」「Type-Rを早くお届けしたい」といった説明には全く説得力が感じられないのです。何より、ただでさえ人手も資金も不足しているのに「業務に支障を来たしてまでルール違反の動画を削除しなければならない」と考えること自体、冷静さを欠いているように思えます

UDMPさんの動画には、全く問題がなかったとは言えませんが、タノシマスさんに大きな損害を与えたり、著しく公序良俗に反するような内容ではありませんでした。いくら著作権がタノシマスさんにあるといっても、いきなり動画の投稿を禁止してしまうのは理解しがたく、ましてや日付を改ざんして濡れ衣を着せることが許される道理などありません

まさしく「だからって、人を『騙して』いい理由にはなんねえだろ!」です。

「ネタバレ禁止」の際も、「まだクリアしていない人のモチベーションのため」などと言っていますが、見たくない人は最初からネタバレを含むを見ようとなんてしませんし、クリアできないから動画で結末を見たいという人だっているはずです。それなのに「結末が見たい人はクリアしなければならない」ということをプレイヤーに強要するのは、ただの善意の押し売りです。意図せずネタバレに触れてしまうことや、ゲームを買わずに結末だけ見られることを防ぎたいというちゃんとした理由があるのなら、そう説明して理解を得ればよかったはずです。結局「ネタバレ禁止」も「動画投稿禁止」も、自分たちがそうしたいだけのことを「皆さまのため」という建前でごまかしている印象を受けてしまうのです。

それから、特に「英語版アカウントでの対応」と「動画投稿禁止」に共通することですが、どちらも「○○はできなくなりました、××をした人のせいです。」という形で、気に入らない相手がいると、過剰反応して自分たちのファンがその相手を批判するように仕向けているように感じます。本来自分と問題を起こした相手との間で決着を付けるべき問題について、無関係な人を抑圧してまで無理やり味方を増やそうとしているように思えてなりません。そのような「対立煽り」ともとれる行為は何の解決にもならないですし、常識的な企業ならたとえ本当に「××のせい」だったとしても、責任転嫁しているような印象を与えないよう、表現に細心の注意を払うべきです。

以上のことから、やはりタノシマスさんには感情的な価値観に重きを置きすぎている傾向があると感じています。


「タノシマスさん」の性格

それから、どうしても気になることがあります。これまでのタノシマスさんの行動には「やられたらやり返さずにはいられない」という性格が表れているように思えるのです。

発売後すぐにネタバレをした人に対しては日付を巻き戻してネタバレを禁止した。
ロゴやキャラ画像を勝手に使う人に対しては日付を巻き戻して使用を禁止した。
ゲームに注文を付けてきたりコピー版で遊ぶ海外の人に対しては翻訳版を出さないことにした。
システムを悪用して不愉快な動画を作った人に対しては日付を巻き戻して動画投稿を禁止した。

いずれも、自分にとって気に入らないことをした人に対する仕返しのように思えます。

それから、これまでずっと主語を「タノシマスさん」としてきましたが、これはもう会社としてではなく、会社の中の個人の性格の問題として考えるべきです。先述した通りタノシマスの従業員は2人で、プログラマーの藤岡裕吾さんと、代表でありプログラミング以外の様々な作業を担当している木村浩之社長がいます。そしておそらく、これらの行動を起こしてしまった「やられたらやり返さずにはいられない」性格の人は、木村社長だと思っています

当然、会社としての意思決定に関しては、立場や年齢差を考えても木村社長が主導権を握っていると考えるのが自然です。

藤岡さんは過去にこのような記事も書いています。

理路整然としていて語彙も豊富で、非常にレベルの高い文章です。これまでに挙げた記事とは全く文体が異なります。また、記事中には木村社長が英語が苦手であるとも書かれています。藤岡さんの英語力は分かりませんが、過去の公演資料などを見る限り、”not just” の意味を読み違える程度とは考えにくいです。

ですから、日付の改ざんや英語版アカウントでの対応、UDMPさんとのメールのやり取りなども、藤岡さんは無関係であると思います。(というか、そうであることを願います。)

そもそも個人的には、ある程度インターネットに詳しい、それもプログラマーという職業の人間が、日付の改ざんや記事の上書きを許すことはありえないと思っています。こういうことをしたらどんな結果になるか、そういう人に分からないはずがないでしょう。

だからこそ、これはどうしても「犯人捜し」になってしまうのですが、これまでの問題は木村社長が原因だったと考えています。

しかし、これをもって「木村社長は性格の悪い奴だ!」と言うつもりはありません。木村社長と同じ立場にあれば、常に冷静に正しい判断をするのは難しいと思います。木村社長は、たった2人の会社の代表として、ゲーム自体の製作や色々なリクエストへの対応、資金管理など、さまざまなストレスに晒される立場にあります。自営業なので明確な休みもなく、ゲームが成功するかどうか否かに生活が懸かっています。自分で立ち上げた会社の方針について判断し、その責任を負う立場というのは、我々の想像を上回る重圧を感じるのではないかと思います。

これは私の経験上の話ですが、人間は誰しも強いストレスや不満を感じていると「自分は正しいはずだ」と思い込んでしまう傾向があります。感情の制御が苦手な人は、酔っている時や眠い時のように、その時自分では正常に判断できていると思っていても、客観的に見ると筋の通っていない発言や行動を取ってしまうことがあるのです。それは他の人だけでなく自分自身そういった経験があり、反省したい点でもあります。

木村社長の「やられたらやり返さずにはいられない」という性格も、感情の制御が苦手なために、冷静な判断ができなくなった結果であると思います。特に英語版アカウントでの対応や動画投稿禁止の際は、強いストレスや焦りを感じていることが文章の内容や対応の早さからも分かるはずです。それに、創作活動において自分の作品をないがしろにされたと感じることは、モチベーションにも大きな影響を与えるのです。「開発業務に支障が出る」というのも、あながち嘘ではないと思います。

しかし、社長に限らず人の指揮を執る人物というのは、何があっても客観的かつ冷静な判断ができなければなりません。正直に言えば、木村社長にはあまり社長職は向いていないのだと思います。それでも、木村社長が自分のやりたいことを押し通してきたからこそ、「株式会社タノシマス」が存在し、「アカとブルー」のような素晴らしい作品が完成したのだと思っています

だからこそ、株式会社タノシマスという会社の未来のためにも、そして多くのプレイヤーのためにも、木村社長には「やられたらやり返さずにはいられない」という性格を克服し、「タノシマス」の名に恥じない振る舞いを心がけてほしいと願います


木村社長なら、きっとこの記事を読んでくれていると思います。たぶん、こういった批判的な記事をスルーできる器用な人ではないでしょう。

正直、相手を批判する際、性格を悪く言うのは「人格攻撃」になってしまう部分はあるので、性格について書くべきかどうかは悩んだのですが、それでも今回の場合はどうしてもちゃんと自分の考えをきちんと述べておきたかったのです。

もし今後何かに対して不愉快な感情を抱いたなら、何か行動を起こす前に「人間は誰しも強いストレスや不満を感じていると『自分は正しいはずだ』と思い込んでしまう傾向がある」ということを思い出し、藤岡さんや奥さん、高田馬場ゲーセンミカドさんなどと話してみて、息を整えることが大事ではないかと思います。そうすれば、間違ったことは起こりにくくなるはずです。


タノシマスさんは今後どうすべきか?

これだけだと、タノシマスさんのやり方に文句を言っただけで全く建設的な意見にはならないので、大変おこがましいことではあると思いますが、タノシマスさんが今後どうすべきか、私なりの考えを示したいと思います。

日付の改ざんについて謝罪・釈明する

まず最初にすべきことはこれだと思います。影響を受けた人は少なかったとはいえ、事実と異なる情報を公開したことについて謝罪することと、なぜそのようなことが起きたのかを、できる範囲で嘘偽りなく説明するべきです。また、間違った日付の書かれた2つの記事については、日付を正しい状態に修正した上で、修正した旨を記載しておくのがいいと思います。

UDMPさんに謝罪する

例えUDMPさんの動画がタノシマスさんにとってどれほど不快であったとしても、嘘の情報を使って陥れていい理由にはなりません。タノシマスさんはUDMPさんが悪いと思っているでしょうし、謝りたくない気持ちはあると思いますが、やはり日付の改ざんによって濡れ衣を着せられかねなかった一番の被害者ですので、公の場でとは言いませんが謝意を示しておくことは必要かと思います。

今後の方針について、2人で議論する

今後、株式会社タノシマスとしてどうするか、特に動画投稿禁止を継続するか否かについては、木村社長と藤岡さんの2人できちんと議論して頂きたいです。上司と部下、年上と年下という関係ではありますが、藤岡さんなくしてタノシマスは存続できないことも事実ですから、藤岡さんの意見や考え方も尊重されるべきです。

アカとブルーを含む、株式会社タノシマスが作ったゲームの著作権は、会社の「財産」です。たとえ社長であっても、個人的な感情でその使い方を決めてしまうのは、それは会社のお金を私的に利用しているのと同じようなものです。

そして先ほども書いた通り、木村社長は悪いことが起きると感情的に対応してしまう節があるので、重要な決定を下す前に藤岡さんや周りの人に話してみることで、トラブルが起きることを避けられると思います。日付の改ざんや英語版アカウントでの対応も、誰かが相談を受けていたら止めていたはずです。何か思いつきで行動を起こす前に、ワンクッション設ける工夫が必要ではないかと思います。

動画の投稿を解禁する

そして私としては、やはり動画の投稿は解禁した方が良いと思っています。感情的に決めたことを抜きにしても、現状では解禁した方がタノシマスさんにとってもプレイヤーにとっても利益が大きいと私は考えているので、その理由をいくつか挙げてみます。


動画の投稿を解禁した方がいいと思う理由

1. ゲームにおいて「共有」ほど重要なものはない

Switch、PS4、XBOX ONEなど、現行のゲーム機はいずれも、ゲームをプレイしている様子をSNSや配信サイトで共有できる機能を持っています。それは、これらのゲーム機を開発した大企業が、ゲームプレイを共有できる機能の存在が売り上げにプラスになると考えていることに他なりません。もはやネタバレを気にして動画の投稿を禁止するような時代でないことは明らかです。

そもそも、昔のアーケードゲームこそ、ゲーム体験の共有によって人気を博したと言えます。STGならハイスコア競争であったり、格闘ゲームなら実際の対戦、そして上級者がプレイする様子を横から見るような形で、店舗や筐体を中心に体験が共有されていき、多くの人が遊ぶようになったのです。それが家庭用ゲーム機の時代になるとゲーム雑誌になり、スマホの時代になるとSNSになったりしましたが、今も昔もゲームを楽しむ上で「共有」ほど重要なものはないのです

ゲームの動画を投稿するという行為は「自己表現」でもあります。例えば、Minecraftで巨大建築を作ったり、ゼルダの伝説でスーパープレイを見せたり、PUBGで縛りプレイでドン勝してみたり・・・などなど、独自のスタイルでゲームをプレイすること、そしてそれを見て楽しむということが、当たり前に行われています。普通の実況プレイも、UDMPさんが投稿したような「VOICEROID実況プレイ」も、今はやりの「バーチャルユーチューバー」による実況プレイも全て同じで、自己表現を通して評価を得たり、体験を共有しようとしているのです。

STGにおいても自己表現をする人はいます。スコアアタックや、高難易度のプレイがそうです。例えば、この「怒首領蜂 大往生 デスレーベル」の動画はSTGプレイヤーなら一度は見たことがあるはずです。もし動画の投稿が禁止されていたら、これをクリアしようという人は現れなかったでしょうし、クリアしたと言っても誰も信じなかったはずです。

それはアカとブルーにおいても同じです。現在もハイスコアの画像の投稿だけは認められていますが、それではハイスコアを目指そうとしてくれる人はいないでしょう。「改ざんはお控えください」ともありますが、改ざんしていないことを証明するには動画の存在が不可欠なのです。

そしてこのような自己表現のために投稿された動画は、人々の関心を集め、時に大きな宣伝効果を生みます。「宣伝をしているんだから多少の無礼は許される」なんてことは全くありませんが、著作権を守ることにばかり固執して、ゲームを多くの人に知ってもらう機会を潰してしまうのはあまりにもったいないことです。

ですから、もし動画の投稿を解禁するとしても、感情的な理由で編集に制限を設けたりするべきではないと思います。最低限、マイナスイメージに繋がるような内容を禁止することは必要かもしれませんが、必要以上に自己表現の幅を狭めるべきではありません。

2. アカとブルーを誰も宣伝していない

発売から1年以上経った今、タノシマスさんもほとんど「宣伝」ということをしていません。そして、その1年のうち半年間もの間、動画の投稿によってプレイヤーから宣伝されることも禁止していたのです。普通のゲームは口コミでじわじわと売れていくこともありますが、間違いなく、動画投稿を禁止したことはアカとブルーの売り上げに良くない影響を及ぼしています

過ぎたことですが、UDMPさんの投稿した動画は、投稿されてから削除されるまでの約7時間の間に、48コメントを集めていました。これはニコニコ動画のVOICEROID実況プレイ動画としては非常にハイペースであり、順当にいけばランキング入りしてアカとブルーの知名度を上げることに大いに貢献していたはずです。会社としての利益を最優先に考えるならば、タノシマスさんはこの動画を削除すべきではなかったのではないかと思います。

今現在、アカとブルーはもはや誰も宣伝をしていない状態で、悪い言い方をすれば、新規のプレイヤーが触れる機会の少ない「閉じたコンテンツ」となりつつあります。タノシマスさんに宣伝するだけの余力がないのなら、せめて動画の投稿を解禁して少しでもプレイヤーに宣伝に協力してもらうべきです。

3. クリアできないプレイヤーは、思っているより多いはず

アカとブルーを何割程度のプレイヤーがクリアしているか、みなさんはどう考えてるでしょか。 ツイッターを見ていると「6~7割程度はクリアしているんじゃないか」と思うかもしれませんが、実は多くのゲームはそんなにクリア率は高くないのです。

Steamでは「グローバル実績データ」を使うと、実績の取得率を調べることができます。これを見て、ゲームをクリアした時に取得される実績の取得率を見れば、そのゲームのクリア率が分かります。難易度が易しいほどクリア率は高くなりますが、それだけでなく値段が高かったり、内容が面白かったり、内容が少なかったり、メジャーなジャンルだったりするほど、クリア率が高くなります。

私の持っているいくつかのゲームのクリア率を見てみます。

Portal: 53.6% - 言わずと知れたパズルアクションFPSです。ゲームに慣れていない人には難しいような、忙しい操作が要求される局面もありますが、クリア率はかなり高いです。

Portal 2: 41.6% - Portalの続編で、前作の謎が明らかになるストーリーが展開されます。クリア率が下がっているのは、ボリュームの多さとギミックの複雑さによるものと思われます。

Super Hot: 50.8% - 動きを止めると時間も止まるFPSです。初見殺しは多いですが難易度は中程度です。

Refunct: 34.5% - 一人称視点の3Dアクションゲームです。ゲームオーバー等もなく簡単なゲームで、内容も短めです。クリア率の低さは安価であるが故に「積みゲー」になっているからであると考えられます。

Va-11 Hall-A: 28.4% - テキスト多めのバーテンダーのゲームです。難易度は高くないのであまり好みでないと感じた人が途中で止めてるのかも。しかし良作です。

Bayonetta 18.8% - スタイリッシュな3Dアクションゲームです。18.8%は全難易度共通で、難易度ノーマル以上だと14.4%です。慣れないとすぐ死ぬものの、オートセーブは多めです。

NecroDancer: 8.7% - リズムに合わせて戦うローグライクでかなり難易度が高く、独特の操作に慣れるには時間がかかります。8.7%は主人公ケイデンスの最終ステージ単体のクリア率で、オールゾーンモード(4ステージ通しプレイ)のクリア率は4.2%です。

Downwell: 6.0% - 下に向けて銃を撃つ「ガンブーツ」を使って井戸の底を目指すローグライクで、こちらも難易度は高いです。ノーマルモードクリア後にアンロックされるハードモードのクリア率は1.4%です。価格の安さもクリア率を下げる要因になっているかもしれません。

・・・とこんな感じで、比較的簡単なゲームでもクリア率は50%程度にとどまっています。そして複数の要因が絡んでいるものの、やはり難しいゲームほどクリア率は下がっています。

これらを踏まえてアカとブルーの難しさがどの程度かを考えると、体感としては「ベヨネッタよりはずっと難しい、Downwellよりは苦労しなかった」というぐらいでした。スマホの買い切りのSTGというマイナージャンルであるためにクリア率が上がることを加味しても、私の予想としてはクリア率はおそらく10%程度にしかならないのではないかと思います。多めに見積もっても15%を超えることはないでしょう。

それはつまり、買った人のうち約90%はエンディングを見ていないということです。当然、ネタバレの投稿は最初から禁止されていたので、他の手段でエンディングを見ることはできません。Portalのクリア率から、実際に「エンディングを見たい」と思っている人が50%しかいないと仮定しても、やはりエンディングを見たい人の約80%が見れていないことになります。

ただ単に私がSTGが下手であるという可能性もありますので、あまり自慢できるものではないと思いますがハイスコアを載せておきます。
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90%の人がエンディングを見れていないというのはあくまで私の予想にすぎませんが、もし本当にそうだとしたら、アカとブルーというゲームは実際には遊んだ人のうち10%しか本当の意味で楽しませられていないことになります。タノシマスさん的にはそれでいいのでしょうか?

私としては「ゲームをクリアした人しかエンディングを見てはいけない」という考え方は、もはや今の時代にはそぐわないと思います。クリアした人だけしかストーリーやゲームプレイの全貌を知らなければ、そのゲームについて語り合える人は少なくなってしまいます。

今や、東方シリーズをプレイしたことがなくても二次創作を見て楽しんでいる人もいますし、Undertaleの全てのエンディングをプレイしていなくてもMEGALOVANIAを聞いたことがある人もいますし、誰もがメトロイドシリーズのサムスが女性であることを知っています。

ゲームの動画を投稿することは、映画やアニメをアップロードすることとは違います。確かに、動画で見るだけで満足して、実際にはゲームを買わないという人もいます。しかしゲームには実際に自分で遊んでみなければ分からない楽しさがあり、だからこそ動画の投稿によってゲームが共有されることがプラスになると多くの会社が考えているのです。

ゲームをクリアしていない人や、ゲームを買っていない人が、動画を通してそのゲームを楽しむということは、そんなにおかしいことではないはずです。

4. 律儀にルールを守っている人だけが損をしている

多分、皆さんも気づいていると思います。動画投稿が禁止された後も、動画やスクリーンショットを投稿している人が何人かいるのです。Twitterを見ていれば気づかないはずはありません。

そして、恐らくそのことにはタノシマスさんも気づいているはずですが、これらの動画に対して何の対処もしていません。DMが送れなくても伝える手段はいくらでもありますし、TwitterやYouTubeに対して削除要請を送ればDMCAに基づいて直ちに削除してくれます。いちいち削除が必要かどうか判断していたら開発業務に支障が出るとしてもおかしくありませんが、内容を見ずに削除要請すれば5分もかかりませんし、法人格なら個人情報の心配もいらないので、躊躇する理由もないはずです。

つまり、タノシマスさんはこれだけはっきりと動画投稿の全面禁止を告知しているにもかかわらず、実際には問題がない限り黙認、という形で「柔軟に対応」しているのです。そもそも「動画投稿禁止」はその日限りしか通知していないですし、「ネタバレ禁止」の時のように毎日botを使って告知もしていないですし、ゲームの起動時に注意事項を表示するような工夫もしていません。

明確に動画投稿を禁止して、「Type-Rのため」に本業に力を入れたいようには見えないのです。先ほどは説明を省きましたが、この点においても「動画投稿禁止」がUDMPさんにヘイトを向けさせることが目的であったようにも思えてしまうのです。

そして、このはっきりとしない対応で一番困っているのは、動画を投稿したくてもできない、動画を見たくても見られないファンの人達です。結局、タノシマスさんに興味がなくルールを気にしない人達は堂々と動画を楽しめるのに、タノシマスさんに興味がある人達は動画を楽しめない状態が発生しているので、タノシマスさんに好意的な人だけが損をしてしまう結果になっているのです。

そういう人たちも、動画やスクリーンショットが投稿されていることに気づいていないわけではありませんが、投稿した人にルール違反を指摘しようとはしません。多分、誰もそこまで熱心に動画投稿禁止という対応を支持してはいないし、できればこんなルール無い方がいいと思っているのではないでしょうか

動画の投稿を禁止するなら、きちんとルールについて周知徹底をした上で、投稿された動画に対しては可能な限り全て、正式な手段で削除要請をするべきです。中途半端な対応は、間違いなく今後再びトラブルが起きる原因にもなり得ます。それができないなら、最初から禁止することは諦めるべきです。


以上が、私の考える動画投稿を解禁すべき理由です。

もし本当に解禁するならば、全面的に解禁するだけでなく、様々なルールを定めることになると思います。

例えば、「誹謗中傷や差別的な表現」「政治的、宗教的な主張」「公序良俗に反するもの」等を禁止するものはよくあります。「この動画は株式会社○○が権利を有するコンテンツを使用しています」などといった注意書きをしなければならないといったものもあります。

動画の収益化を許可すべきかどうかも考えるべきです。感情的には「人様のゲームで金儲けとは何事だ!」となりかねませんが、収益化を明示的に認めることによって宣伝の促進になる場合もあるで、慎重に考えてほしいです。

それから、ネタバレは発売から1年も経っていますし、もう許可してもいいのではないでしょうか。クリアできずにエンディングが見れなかった人もいるはずです。

ただ、こうしたルールもあまりに厳密に適用しようとするとかえって業務に支障がでてしまいます。そもそも、従業員2人の会社が自社の著作物を完全に管理するなど不可能なのです。あくまで本当に削除が必要であると思われる作品に対する手段として用意しておくにとどめるべきであると思われます。

正直、動画の投稿を禁止していた半年という時間はあまりにも長いです。動画を投稿して楽しみたかった人は、既に他のゲームに興味が移ってしまっているかもしれないので、今更元に戻したところで大きな効果は期待できないかもしれません。ただ、やはり今後Type-Rが出て、Type-Sも出るとなれば、いずれは動画の投稿をこれからも禁止すべきかどうか考えることになると思います。

遅すぎるということはないと思いますし、木村社長と藤岡さんには改めて検討して頂きたいです。


著作権について

ここまで若干説明不足気味だった、著作権についての話をしたいと思います。これはあくまで私人の著作権に対する価値観を明らかにするために書いた側面もあるので、興味のない方は読み飛ばしても構いません。

著作権は、自身の作った作品について、作者が使い方を決めることができることを保障するもので、その作品作者に対し自動的に付与される権利です。

ゲームの著作権は開発した会社にあり、ゲームの動画を投稿することだけでなく、スクリーンショットを撮ったり、キャラクターのイラストを描いたりすることも著作権侵害になります。これらの行為を実際には多くの人が行っていますが、それはゲームの開発者が黙認してくれているからです。著作権侵害は親告罪なので、権利者が訴えなければ違法にはならないのです。ですから、こういった活動は「権利者に怒られない範囲でやらないといけない」ということは、誰もが認識しなければなりません。

しかし、タノシマスさんがゲームの発売後に告知した「ネタバレ禁止」の記事には、「※個人的に楽しむこと以外の目的で動画などを投稿し、第三者に公開する行為は本来、著作権違反となります。」という一文がありました。これは確かに正しいと言えば正しいのですが、著作権侵害を「本来であれば違法」のように解釈すべきかというと、ちょっと違うのではないかと思うのです。

著作権法には、確かに「他人の著作物を勝手に使うと罰せられるよ」と書いてあります。これは刑法で定められていることなので、最悪罰金や逮捕もありえるということです。しかし実際には著作権の侵害を刑事告訴する例は少なく、民事訴訟によって損害賠償請求を行うというような形が多いです。いきなり訴訟ということも普通は考えにくく、事前に何らかの警告を行い、応じなかった場合に起きることです。

ですから、実際には「自分の著作物を望まない形で使われた場合、作品を取り下げるように警告することができる。応じない場合は民事訴訟を起こすことができ、必要ならば刑事告訴もできる。」という形で運用されています。要するに著作権法は「著作物の扱いに関しては著作権者が一番偉い」ということを定めているのです。他人の著作物を使う事は全て悪いことであると言っているわけではありません

著作権の侵害が違法になっているのは、住居侵入が違法であるのと同じようなものであると私は考えています。自分の所有している土地、例えば自宅やお店などでは、望まない人やその場のルールを守らない人が入ることを拒むことができます。お店に入るのに、わざわざ住居侵入で訴えられるんじゃないかとビクビクする人はいません。しかし、例えば夜中にこっそり建物に侵入したりすれば、訴えられる可能性はあります。何をもって住居侵入とするかは、結局はその土地の所有者次第なのです。

どちらも「権利を有している人が一番偉い」という点では同じで、訴えないことを条件に権利が及ぶ範囲で他人にルールを守らせたりといったことが可能なのです。全面的に侵入を禁止している場所もあれば、「大声でしゃべるな」という場所もありますし、トイレのように男か女しか入ってはいけない場所もあります。しかし、明確なルールがないことの方が多いですし、その場合は結局「一般常識」で判断するほかありません。著作物も同じで、完全に禁止されている場合や、利用条件を守れば利用してもよいという意思表示をしている場合や、明確なルールはないものの利用を黙認している場合もあります。

つまり、他人の著作物を使うことは人の家に入ることと似たようなことであって「本来であれば違法」というのはちょっと飛躍した考え方ではないかと思うわけです。著作物が土地と違うのは「誰でも簡単に作ることができる」「世界中どこからでも閲覧・複製が可能(なものもある)」「侵害されたことに気づきにくい」「二次創作(N次創作)が可能」など、いろいろあると思います。そのため、著作権に関する問題は土地に関する問題よりも起きやすく、慎重であることが求められるのです

これに関しては独自の見解に過ぎない部分もあるので、話半分程度に考えてください。別に「他人の著作物を使うことはいつでも許されるべきだ!」と思っているわけではありません。やはり最終的に一番偉いのは権利者なので、アカとブルーの動画を投稿できるようにするかどうかはタノシマスさん次第です


話は変わりますが、動画の投稿を厳しく制限していたゲームは少ないながらも存在します。例えば、株式会社アトラスから発売されているペルソナシリーズなどです。中でも、最新作の「ペルソナ5」において、興味深い事例が発生していたので紹介します。


アトラスさんは、「ペルソナ5」の動画投稿について、「動画を投稿したらアカウントを停止する」というほど強硬な態度をとっていました。しかしこのことが海外で反発を招き、結果的にアトラスUSAは謝罪し、ストーリーの終盤の動画を投稿することについて「控えるようにお願いする」に留めることになったのです。(ただしこの時は海外版のみ。)この出来事は、世界的に見て「プレイヤーには動画を投稿する権利がある」という考え方が広まりつつあることを示しているとも言えます。

しかし、これに関してはアトラスさんの「著作権を利用してプレイヤーを脅すような態度」が問題であったと言えます。PSNのアカウントにはこれまでにオンラインで購入したゲームのデータなども含まれており、アカウントを停止されると購入する際に使ったお金は戻ってきません。アカウントを「人質」のようにして著作権を守ろうとするのは、明らかに行き過ぎた対応として見られたのです。

当然ですが、著作権を有している側が著作物を利用している側にしていいのは、何らかのルールを課すことであったり、作品を取り下げるよう警告することであったり、最終手段として民事訴訟や刑事告訴を行うことだけです。誰かが勝手に使ったとしても、その人を殴ったり名誉を傷つけたりして良いわけがないのは当たり前で、その人の持ち物であるアカウントを奪うことも、その人に対して濡れ衣を着せて社会的信頼を失わせようとすることも許されていません。当たり前ですが、どんな法を犯した時でも「私刑」のような行為が許されないのは同じです


色々と話が飛んでしまいましたが、つまり何が言いたいかというと「著作物の使い道について決める権利を持つのは著作権者だけど、権利者が著作物を使う側よりも絶対的に上の立場にあるということではない」ということです。どのような場合であっても、相手に対して敬意を持って接することは忘れるべきではないと思っています。


まとめ

書きたいことがありすぎて無駄に長くなってしまいましたが、私の意見をまとめると以下のような感じです。

  • アカとブルーは素晴らしいゲームだ!
  • UDMPさんの動画を削除した際のタノシマスさんの対応は良くなかった
  • その他にも不適切な対応が過去にあった
  • タノシマスとしての意思決定は、木村社長と藤岡さんの2人で行うべき
  • 動画の投稿は禁止するべきではない
  • 「著作権侵害すなわち悪」ではないし、著作権者も動画投稿者も同じ人間


最後に

そもそも、なぜこんな記事を半年以上も経って公開したのか、疑問に思っている方も多いと思います。それは単にどう書いたらいいか悩んでいたからです。

本当は「動画投稿禁止」から一か月以内には公開してしまうつもりでいました。「このようなことが起きた原因は木村社長の性格ではないか?」という疑問は最初から持っていたのですが、それを書くとどうしても「人格攻撃」になってしまうので、なんとか穏便な書き方を探っていたら、いつの間にか半年も下書きのまま寝かせていました。

悩んでいた理由の一つに、二か月ぐらい経った時に「日付の改ざん」や「英語版アカウントでの対応」に気づいてしまったこともあります。これを書くと内容はさらに多くなりますし、明らかになっていない事実を明らかにするという点で、どうしてもキツい表現になってしまいがちでした。

匿名掲示板にでも投げれば楽だったのでしょうが、それではタノシマスさんの印象を悪くするだけで、解決にはつながらないと思ったのです。結局だいぶ時間はかかってしまいましたが、自分の言葉で伝えることにしました。

しかし、まだこれでもやっぱりキツい表現に感じる部分はあると思います。なるべく努力はしましたが、自分に藤岡さんくらいの文章力があればもっとマシな記事にできたかもしれません。今後の反省点です。


・・・とまあ、感じのいいことを言ってはみましたが、この記事を公開するにあたって、タノシマスさんや木村社長に対して悪い感情が全くなかったと言えば嘘になります

自分はこっそり日付を改ざんして人を騙そうとしておきながら、ハイスコアに関して「改ざん等はお控えください」なんてお願いするような奴なんか嫌いにきまってるだろバーカ!

私自身動画を投稿したかったと言いましたが、当初は投稿したかったからこそ記事を書こうと思ったし、どのような内容にするか悩んでいたのです。それも日付の改ざんを知ってからはどうでも良くなりました。

作者と作品は分けて考えるべき」なんて言葉もありますが、やっぱり嫌いな人の作ったゲームを楽しく遊ぶのは私には難しいです。この半年間、ほとんどアカとブルーは起動していません。正直、このままタノシマスさんが何もしなければ、Type-RやType-Sを遊ぶこともないと思います。


それでも、やはりタノシマスさんには謝罪すべき点については謝罪し、これからもファンの方々とは良好な関係を築きつつ、新たな作品を作り続けてほしいと思っています。

株式会社タノシマスの会社概要には、こう書かれています。

これまで当たり前にやってきたことで、現在、自分達にしかできないことをやっていく
やりたいことをやっていくのではなく、期待に応えていく中でやるべきことをやっていく
我々タノシマスのメンバーはモノづくりを通して、みなさまを楽しませることに全力投球します

タノシマスさんの社名は間違いなく株式会社「タノシマス」です。「カナシマス」でも「ダマシマス」でもありません。会社として掲げた目標と、名前に恥じない振る舞いを心掛けて頂きたいです。

タノンマス!!

2018/01/04

「RXN -雷神-」のストーリーを解説しつつ、いろいろ考察してみる

大体愚痴を書く場所と化してるこのブログですが、今回は「RXN -雷神-」というゲームに関してです。
「RXN -雷神-」は、縦スクロール型STGです。ステージが細かく分かれており、「世界観を気持ちよく味わえる、シンプルで優しいストレスフリーなゲーム」を目指して作られたとのことです。

Switchを買って以降、ゼルダやマリオ、スプラトゥーン等のパッケージソフトの他、「Human Resource Machine」「Fast RMX」「Thumper」等のDL専用ソフトも買って、どれも非常に楽しめたので、何か他にもソフトが買いたいな、と思っていました。

その時見つけたのが、まさにこのツイートです。
私は割と前評判をかなり慎重に調べてから買うタイプなのですが、とにかくSwitchのゲームが欲しいと思ってたので、このツイートと記事の内容にビビっときて、e-shopで4000円超という価格に驚きつつ、PVを見てなんか怪しいと思っても気にせず、自分の直感を信じて買ってしまったのです。

でまあ、実際プレイしてみてすぐ「やっちまった……」と思いました。
とにかく「爽快感が皆無!」この一言に尽きます。
具体的に何が悪いのかは、以下のレビュー等を見れば分かると思います。

一通りプレイしたあと、Twitterでも酷評の嵐なのを見て、自分だけではなかったと重い安心しました。
それと同時に「クソゲーを買ってしまったこと」自体が割と面白いかもしれない、とも思い始めたのです。4212円あれば他のゲームを買えたと思わなくはないですが、せっかく人が欲しくないと思うようなゲームを運悪く買ってしまったんだし、それをちょっとでも楽しんでみようと思ったのです。

ゲームプレイ部分の問題については、既に先に挙げたような記事に非常によくまとまっています。一方、ストーリーについてはあまり言及されていません。IGNのレビューでも言われているのですが、このゲームは確かに「ストーリーがまったく頭に入ってこない」のです。私も初回のプレイではほとんど理解できませんでした。

でも、他の人のレビューが複数出てきて冷静になってくると、もう一度プレイして、ちゃんとストーリーを読み解いてみたいと思いました。
そこで、ここでは「RXN -雷神-」のキャラクター設定とストーリーについて解説しつつ、疑問点や問題点を挙げていきたいと思います。その後、全体を通した問題点をいくつか挙げた上で、なぜ「頭に入ってこない」のかについても考察してみます。

しかし、調子に乗って楽しく書いていたらいつの間にかすごい情報量になってしまいました……。一応「問題点」のところだけ読んでもある程度分かるようにはしたつもりですが、時間があれば「登場人物」「あらすじ」も読んでみてください。


※注意
一応、ここからはネタバレを含みます。本来ならば「未プレイの方は読まないでください!」と言うべきところですが、正直買うべきではないと思うので、興味があるなら読んでみて下さい。
既にプレイしてしまって、早くこんなゲームのことは忘れてしまいたい人も、これを読めば少し見方が変わるかもしれません。




登場人物


設定がやや複雑なので、ストーリーを要約する前に主要なキャラクターの設定に触れておきます。また、Twitter上で公開された、本編の前の物語を描く「RXN連載小説」の設定にも触れます。RXN連載小説には、何枚か連載小説用の挿絵も用意されており、非常に気合が入っています。しかし、rec01~06まで公開されているのに05が欠番になっているなど、謎も多いです。

橘花ライト

18歳、男性。3人の主人公のうちの一人です。
性格はクールで、天才型。高い空間把握能力を持っています。搭乗する機体はRXN-101。連載小説によると、他の2人とは違い「邪魔だから」という理由でドローンを使用していません。
集中時に脳が活性化し、超人的な能力を発揮することができますが、自分自身で完全にコントロールすることはできないようです。しかし、この設定はゲームには特に反映されていません。物語中盤、ヒメノミからの「最期の授業」において、「君も自分のものでない鼓動と熱い血の匂いを感じるだろう?」と言われ、ライトは動揺したような様子を見せます。しかしこの発言の意味は最後まで明らかになることはありません

鳴門ルナ

17歳、女性。3人の主人公のうちの一人です。
幼少時に戦闘向けの「調律」を受けており、極限状況下での恐怖感の欠如や独特の倫理観を持っているほか、味覚などの感覚が弱くなっているそうです。連載小説によると、ジンに連れられてカレーを食べたことがきっかけで、辛いものが好きになったのだとか。
RXN-202に搭乗しており、連載小説によると4つのドローンにそれぞれ「ダル」「アト」「ポル」「アラ」と名前を付けているそうです。偶然分かりましたが、この名前は小説「三銃士」の登場人物を元にしているようです。こういうちょっとした小ネタは大好きです
チャプタークリア後に「ミラたんモフモフしたいよー」と言うことがあり、チャプター中でもミラたんに言及するシーンがあるのですが、これは人形なのかペットなのかは不明です。
「最期の授業」では「君が丙組の中で教育されてきたのは全てこの日のためだった」と言われますが、ルナは特に動揺しません。また、他2人がヒメノミを「博士」と呼ぶのに対し、彼女は「ヒメノミちゃん」と呼ぶなど、かなり仲が良いようです。

橘花ジン

22歳、男性。3人の主人公のうちの一人です。
社交的で優しく、真面目な性格。努力型ですが、弟に対し強い劣等感を持っています。
RXN-303に搭乗しており、連載小説によるとドローンには死角をカバーさせているとのこと。弱みを見せたくないところがあるようです。
また連載小説では、ヒメノミの部下である藤巻テンゴと個人的な親交があるようで、下の名前で呼び合う仲のようです。後にヒメノミと共に死亡している可能性が高いですが……
「最後の授業」では、ヒメノミに「どうしてΣBLOOD(シグマブラッド)なんて使った」と言われます。名前から察するに危険な薬物であると思われますが「ライトには負けたくなかったんだ!」と答えます。彼の劣等感はそれほどまでに強いようです。
ライトで32Bをクリアした場合は笑顔で「おかえり」とライトを迎えますが、内心どんな気持ちだったのか想像すると恐ろしいです

新衹チドリ

25歳、女性。RXNシリーズを率いる戦艦の艦長で、U.G.W.(世界統一政府)直属のキャリア組です。
副長のヒュウガとはそりが合わず、よくお互いに嫌味を言い合っているが、RXNのパイロットたちには「頼れる良き上官」であろうと努めています。
祖父が重機「スーパーガジラ」の開発に関わっており、ぬいぐるみも持ってるくらいスーパーガジラのことが大好きです。物語の序盤で、敵によって彼女の思考が読み取られ、スーパーガジラが敵として出現してしまいます。
25歳で艦長というのはかなりすごいと思いますが、ひょっとしてスピード出世を周囲から妬まれて、危険な最前線に向かわされたのでは……?
巨乳上官属性が一部の人にウケがいいです。

帯刀ヒュウガ

41歳、男性。作戦の指揮を執る副長で、U.G.W.に所属しています。
え、41歳!? というくらい若く見えます。謎の言動やボヤキが多く昼行灯な人。
世界の歴史や神々について独自に色々と研究しており、艦長から怪しまれるシーンも。中盤ではなぜかヒメノミの脱走の手助けをしたりと、不可解な行動が多いです。
機体選択画面で「発進準備ぃ」と気の抜けた声で言うことがあるのは彼です。これは声優さんが悪いのではなく、このシーンで昼行灯キャラにセリフを言わせること自体が間違っていると思います。

皇姫(ヒメノミ)

年齢不明、女性。軍をも統率する組織「丙組」の研究者で、「博士」や「姫」と呼ばれることもあります。RXNシリーズの開発に深くかかわっており、システムの根幹を知っている数少ない人物です。
本作で一番謎の多い人物です
数百年前の人物であるユナやマナのことを「ユナねぇ」「マナねぇ」と呼ぶなど、彼女自身も数百年前から生きている可能性が示唆されます。しかし、物語の中盤で突然、部下とともに艦内にあるRXN-606に乗って出撃します。そして「話をつけてくる」と言って敵の親玉である「マナ」の中に入って洗脳されてしまい、最期は多くの謎を残したまま主人公にマナもろとも破壊され、死亡してしまいます
しかもエンディングによってはなぜか生き返ります。というより、生きていたことになっている……?

寛成マサチカ

年齢不明、男性。ヒメノミの従者の一人で、真面目な性格。
連載小説によると、ヒメノミの指示で藤巻テンゴと同室で暮らしており、いつもテンゴの脱ぎ散らかした服を片づけたりしているのだとか。ライターに愛されていますね。人間らしい側面も描かれているのはいいことです。
しかし、本編ではあまり人間らしい行動はなく、物語中盤で「これより我ら丙組は、血の宿命に従い行動に入る」と言って、ヒメノミについて行って死亡してしまいます

 藤巻テンゴ

年齢不明、男性。ヒメノミの従者の一人で、おおざっぱな性格。
連載小説によると、主人公の一人である橘花ジンとは下の名前で呼び合う仲のようです。また、難しい四字熟語を使うというキャラのようです。
同じく物語中盤でヒメノミ、マサチカと共に死亡してしまいます

アユカ

16歳、女性。通常のRXNシリーズとは設計思想の異なるRXN-808に搭乗しており、「騎神」と呼ばれている伝説のパイロットです。主人公より若い伝説のパイロット……何か秘密がありそうです
「本作戦には参加しないはずだった」という設定のほか、物語を進めると「人形」「神話世界を生きた人物」「クローン」など色々な情報が明らかになりますが、最終的に何者だったのかは良く分かりません。数百年前から「騎神」としてクローンを何度も作って利用されているということでしょうか? また、同じく神話世界に生きていたと思われるヒメノミからは「アユカねーちゃん」と呼ばれています。
終盤では主人公の機体に同乗し、エンディングによってはラスボスを倒した後二人きりで並行世界を漂うことになります。 
連載小説によると、RXNには痛覚を含む感覚が搭乗者に伝わらないようにするコアが搭載されているのですが、このコアがあると気持ち悪くなるといって、危険を承知でヒメノミにコアを外させます。この時ヒメノミは「作戦には参加しないから大丈夫だろう」と言っているのですが、本編でヒメノミは「アユカねーちゃんのRXNも出そう」と言います。アユカを出撃させるのが危険なのを一番良く知っているのは、ヒメノミのはずなのに。おそらく、本編より後から書かれた連載小説の設定が矛盾しているのだと思います。

ユタカ

年齢不明、おそらく男性。ウルカと戦っている時に黒い機体に乗って現れ、人類と敵対する意思を示したために敵とみなされます。
胸元の開いた変な服を着ていますが、本作のラスボスです。
物語を進めていくと、ユタカは神話の時代から生きている人間であり、過去に「ヒカリ」という愛する人をユナに殺されたために、ユナを信仰する人類と敵対することを決めたことが明らかになります。
ある意味本作で最も出自や動機がはっきりしていて、最も人間らしいといえる人物です。

ユナ

数百年前、並行世界の移動と選択を繰り返し、人類に平和を取り戻した少女。当時16歳。人類を超越した存在であり、後に「神」として認識され、人類から信仰されるようになります。
RXNシリーズにはユナの一部が搭載されています。そのため、マナとの闘いの際、一度だけ声として登場します。

マナ

並行世界すべてを受け入れ吸収拡大しながら、完全な世界を目指す存在。全生命の意識や肉体までも一つにすれば、争いはなくなると考えています。
ヒメノミがユナとマナの二人を知っていることから、元々は知り合いだったが、何らかの理由があってユナと対立したと考えられます。
また、ウルカたちやユタカの信仰の対象でもあります。
あと公式サイトの説明文が「並行世界」ではなく「行世界」になっています。

登場人物の設定は以上ですが、組織の関係性について少しふれておきます。
本作には「アースガルズ」「U.G.W.」「丙組」という組織名が登場しますが、どのような関係になっているのか、はっきりとしたことは本編を見てもよく分かりません。
しかし、ヒメノミが単独行動する際のセリフに「アースガルズおよびUGWを離脱」というものがあることから、それぞれ独立した組織ではないことは確かです。
私の考えでは、「U.G.W.の中に丙組という秘密組織があり、ウルカを倒すために組織されたチームがアースガルズ」ということなのではないかと思っています。




あらすじ


ここからは、ストーリーを要約していきます。
ただしこのゲーム、次のチャプターを進む際複数のルートを選択できる場合があるのですが、ストーリーが各ルートをまたがって繋がっている場合があるため、その場合は時系列順に並べて要約しています。

公式サイトのストーリ

かつてユナという人類を超越した少女が、並行世界の選択と移動を繰り返して「基底世界」を定め、人類に平和を取り戻した。ユナは人類から神として信仰される存在になった。
しかし数百年の時を経て、ユナが並行世界を移動するために使った扉「儀の観測点」から突然、生物とも機械ともつかない存在が出現し人類を襲い始めた。この存在を敵と認定し「ウルカ」と呼ぶことにした。
このまま儀の観測点が開き続けると、全ての並行世界が繋がって世界が滅亡してしまうので、主人公たちは極秘裏に開発されてきた兵器「RXNシリーズ」を使って、ウルカを殲滅するために出撃した。
並行世界が繋がるとどうして世界が滅亡するのかは分かりませんが、おそらく「基底世界」が関係しているのだと思います。これ自体は特に問題ではないと思います。 
しかし、ゲーム中ではこのことは一切説明されていません。主人公たちが敵を倒す動機に関わる重要な設定が、公式サイトでしか説明されていないのは大きな問題です。

チャプター1~4

儀の観測点からウルカが出現したため、主人公たちはウルカを殲滅するために出撃する。
巨大な「渾天の儀」が制御不能となっていたためこれを破壊したところ、謎の黒い機体が出現、そのパイロットから通信が入る。「人類はまだこんなことをしてるのか、自分たちの信じているものの本性も知らずに」と言い残して並行世界へ逃走したため、「N世界シフト」を使用して追跡する。
黒い機体のパイロット(ユタカ)には「成すべきこと」があるらしい。ヒメノミは一筋縄では行かないだろうと考え、アユカを出撃させて先行させる。3人の主人公のうち、選んだ人以外の2人はアユカのバックアップに向かう。 
大きな問題はないですが、実際にプレイしているとすでにややプレイヤーが置いてけぼりになっている感は否めません。また、ユタカのセリフがほとんど聞こえなくなるシーンが複数あります。

チャプター5~13

ヒメノミが突然「指示があるまで何も考えるな、頭を真っ白にしろ」と言う。すると艦長の記憶が具現化し、重機「スーパーガジラ」がウルカとなって出現。これを撃破する。
ヒメノミは、ウルカについて何か話していないことがあるという。エーテルは大気中に存在するエネルギーのようなもので、ウルカもエーテルからできている。そのため、ウルカを倒すと跡形もなく消える。また、人類がユナを信仰するように、ウルカも「マナ」という神を信仰しているのだという。
さらに、ヒメノミはN世界シフトについて解説する。世界はエーテルの海を進む船のようなもので、海には無数の船がある。その船の間を移動することができるのがN世界シフト。だが、元の世界に戻っても全く同じ世界ではなくなっている。エーテルの海で沈没船のようになった世界では、記憶が具現化する「思念の融合」のような現象が起こることがあるという。 
この「元の世界に戻っても全く同じ世界ではなくなっている」という設定は、後に主人公が単独行動をする理由になるのですが、そのストーリー展開を作るための設定にも思えてしまいます。

チャプター14~16

黒い機体のパイロットとアユカの会話が聞こえるが、ノイズが入っていてよく聞こえない。しかしアユカの様子がおかしくなり、ユナの思考に取りつかれたような状態になっている。黒い機体のパイロットは「おい、どうしたんだアユカ!」「ハハハッ! お前、自分がどうなっているのか分かってないのか」「お前、人形じゃねーか!」と言っている。
アユカを追っていた二人は、追いつくことができなかった。アユカと黒い機体のパイロットの会話は、まるで友達と言い争っているようだったという。 
ユタカがアユカのことを「お前」と呼んだり「アユカ」と呼んだり、態度がかなりコロコロ変わっている印象を受けます。文面では分からないですが、実際のボイスを聞くとより強い違和感を覚えるはずです。
また、取りつかれたようになった理由も「人形じゃねーか」の意味も結局よく分かりません

チャプター17~18

アユカは黒い機体を止めることに失敗し、戻ってきた。パイロットの名は「ユタカ」というらしく、こちらに向かってきているという。
副長は「マナはここでギシキを始めるつもりなのか」と何か知ってる様子だが、艦長に問い詰められると「少し歴史に興味があるだけ」と答える。ユタカが激怒した様子で「アユカに何をした!!」と主人公たちに問う。「お前がアユカを倒したんじゃないのか」と問うと、ユタカは「お前のソレが何なのか、どうして戦っているのかもわからずに戦っているのか」と問う。「人類を敵から守るため」と答えると、ユタカは笑い「やっぱり貴様ら全員死んだほうがいい」と言って去る。
ユタカの言っていた「RXNが何なのか」という質問にヒメノミが答える。RXNにはユナの一部が搭載されているという。ユナは自分たちにとっての神であり、かつては実在した。「信じるものが違うやつには許せないこともあるんだろうね」とヒメノミは考える 
謎が謎を呼び、質問に質問で答える怒涛の展開。いよいよ理解が追い付かなくなってきます。
この「アユカに何をした!」と言うユタカも、なぜ激怒しているのかよく分かりません。
また、副長の言う「ギシキ」というキーワードは以降登場しません
こうした積み重ねが、重要な情報とそうでない情報との区別を難しくしています。

チャプター19~22

ウルカにとっての神、マナからの通信が入る。「全ての意識が一つになれば、争いは存在しません」「さあ、私の元へ還りましょう」
するとヒメノミの側近たちが「ヒメノミ様、機は熟したかと」「全ては転轆轆地(てんろくろくじ、順調にことが進んでいること)」「我々丙組は血の宿命に従い行動に入る」と言う。
艦長が制止するも、ヒメノミは眠っていたRXN-606という機体に乗って出撃。「マナねぇ」に話を付けてくるという。ヒメノミはUGWの離脱を宣言し、機体に「ヤタガラス」という名前を付ける。副長は主人公にヒメノミの援護を指示、主人公が「本当にいいのか」と問うと「ああ、頼むよ」とヒメノミ。
マナの元へ向かう途中でヒメノミは主人公に「最期の授業」を行う。(この時の会話の内容は選んだ主人公によって異なる)
目標に着くと、そこには巨大なウルカがいた。ヒメノミは「マナねぇとユナねぇが出会ってしまう前に、元の場所に戻さなきゃ」と言い、主人公の制止も聞かず「マナねーちゃんに会えるはず」と言って巨大なマナの体内に突入。
結果、ヒメノミはマナに洗脳されてしまい「すごくあったかい」「みんなもおいでよ」などと言う。マナは主人公も洗脳しようと「あなたは私、私はあなた」「あなたの存在は既に私の一部」といった精神攻撃を仕掛ける。しかし、主人公はユナの力によって守られ、マナをヒメノミもろとも撃破する
その後、艦長の指示でN世界シフトを行う。 
「まだ助けられるかもしれない」というようなセリフもなく、主人公は躊躇なくヒメノミを取り込んだマナを破壊してしまいます。第一、艦長の命令を無視してヒメノミの独断専行の手助けをしたのも主人公であり、それはマッチポンプというか、ヒメノミを殺したに近いのでは……。
また、結局最後までヒメノミの行動の理由が明かされることもありません。副長が手助けした理由も分かりません。全てが不可解です。
あと、最後のN世界シフトは恐らくユタカを追うためのものと思われますが、そうなるとおかしな部分があります。理由は後述します。

チャプター23~24

「このままウルカの本体に近づいて行って倒しても、私たちは元の世界に戻れるとは限らない」と鳴門ルナが言う。
主人公は「みんなは今なら引き返せる、ここから先は私一人で行く」と言って単独でユタカを倒しに向かう。「生き延びなさい、これは命令よ」と艦長。主人公とアユカ以外の仲間は地球に帰るため、N世界シフトを行う。
主人公はユタカの黒い機体と対決する。アユカ曰く、ユタカはアユカと同じく神話世界を生きた人間だったが、ユナの考える世界から抜け出した「堕神」であるという。
アユカによると、以前追っていた時よりユタカは強くなっていた。ユタカは「お前たちが倒したマナを食った」「未来も過去も空間も今、全て俺の中にある」という。
ユタカを倒すも「本当のゲームはこれからだ」と言ってまた逃走する。  
おかしな点がいくつもあります。
  • 地球を救うためのチームが、仲間を一人残して帰還してどうするのか。
  • 主人公が「ユタカとアユカは神話時代を生きた人間だった」と聞いても驚きもしないないのはなぜか。
  • ユタカの言う「マナを食べた」とは具体的にどうやったのか。
  • マナを倒した後、ユタカを追ってN世界シフトしたはずなのに、ユタカがマナの残骸を食べることができたのはなぜか。
……ちなみに、アユカが「808で追っていた時より反応が強い」と言っていることから、アユカはRXN-808に乗らず、主人公の機体に同乗したものと思われます。ヒメノミが死亡した時も「『博士たち』の機体も残念ながら破壊を確認している」と副長が言っているので、RXNにはヒメノミとその側近が乗ることができるぐらいのスペースはあるのでしょう。それでも、アユカが何のために、いつから主人公の機体に乗っていたのかは分かりません

チャプター25~28

異常なエーテル反応が複数確認される。
渾天の儀やマナを模したウルカ、スーパーガジラなど、かつて倒した敵が複数登場する。いずれも以前より強くなっており、ウルカは別時空の戦闘の情報を共有しているとアユカは推測する。
ユタカはウルカを相手に苦戦する主人公を見て「自分が無力だと感じるのはどんな気分だ」「無力では何も守れない。俺は愛するものをユナから守れなかった」と言う。
「種の存続のために一つの命を握りつぶすような神は本当に神なのか」というユタカの問いに、主人公は「生きて行くためには、誰かを犠牲にしなければならないこともある」と答える。ユタカは「知ったような口を利くな、自分が死んだ100年後に何の価値がある」と主人公の主張に反対する。
ユタカがなぜユナを信仰する人間と戦おうとするのかが分かる、重要な部分です。自分が無力だったせいで、愛する人が死んでしまったという自責の念が読み取れます。 
主人公とユタカは互いの主張をぶつけ合っていますが、どちらの主張にも一理あるでしょう。
しかし、マナを模したウルカと再戦する時、主人公は「あの敵は博士と一緒に倒したはず」などと言います。「犠牲はつきもの」というのがユナの考えであるとはいえ、その発言はちょっと無責任では……。

チャプター29~30

ユタカ曰く「そこのアユカ、クローン達にもそれぞれの人生がある、いやあった」「貴様らはその事実を受け入れず大義名分を掲げ、命さえもパーツにしやがった」
「兵器のためにクローンを作るような人間どもが愛を語るのか?」
主人公は「それでも生命を大切に守り育てながら精一杯生きて、次の誰かにバトンタッチする、それが歴史になって行く」と答える。
しかしユタカは「人間など生かしておいても価値がない、俺は人間をユナごとマナに取り込む」「全てがマナとなり、一繋ぎの弦となれば、時間も空間も全ての可能性すらも一繋ぎだ」「そこでは生きることも死ぬことも完全に等価となる」と言う。
主人公は「この戦いで死んでいった人たちは世界をより良くするために死んでいったんだ。新しい時代を作るのは神様じゃなく人間だ」と答える。
ユタカは「俺の愛したヒカリはユナによって殺された」「ならば俺がマナの力を使って世界を再構築し神となる」と言う。
アユカがクローンであるという情報に、主人公は特に驚きません。当たり前の事実のようにスルーされており違和感があります。当然プレイヤーにとっては初耳なので、何か説明が欲しいところです。
また、ここでユタカの「愛する人」の名前が「ヒカリ」であることが分かります。ヒカリの死をなかったことにするために、世界の全てを一つにし、生と死を等価にしたいというのがマナを信仰するに至った大きな理由であったと言えるでしょう。
省略しましたが、主人公とユタカは「人間が人間を罰するなんておかしい」「俺はもはや人間ではない」というような言い争いも繰り広げています。しかし、博士と慕っていた人を殺してもケロッとしてる主人公より、愛する人を守れなかったことに苦悩するユタカの方が、よほど人間らしいかもしれません

チャプター31~32

敵を全て倒し、残るはユタカを倒すのみ。
「おそらくもう巨大なウルカを作り出すことはできないはず」とアユカ。複数のポイントでエーテルが増大しており、ユタカが儀の観測点を開こうとしていると思われるとのこと。主人公とアユカはユタカの元へ急ぐ。
そして、ついにユタカと直接対決。ユタカは自らの黒い機体に名前を付ける「この機体に名前を付けるとすれば、RXNなんて過去の名前は捨てよう」「こいつはもはや俺の肉体そのもの。『雷切』だ」勝負が終盤に差し掛かると、主人公はアユカに「RXNの感覚抑制をすべて切ってくれ」アユカは「そんなことをしたらRXNの全ての感覚がフィードバックされてしまう」と言うも主人公は「そうしないとユタカには勝てない」
そしてついにユタカを撃破する。 

Aエンド

ユタカ「動かない、終わったのか。これでやっと光の許へ行ける…」「長かったな、最初からこうすれば良かったのか…」
主人公「これから先ずっと一人か」
アユカ「はずれ、ここには私もいるんだな」(原文ママ)
主人公「アユカと二人きり、まあ悪くないか」
そして二万年後、地球上空で「RXN」と書かれた機体の残骸が発見される。

Bエンド

ユタカ「なんだ、ヒカリ、ずっとそこにいたのか。ああ、そうだな、行こう」
オペレーター「RXNとのコンタクトに成功、こちらから呼びかけることができます」
艦長「よくやった、最後の命令だ。N世界シフト座標は…」
アユカ「どうする、本当にこのままこの辺を彷徨う?」
主人公「大切な人がいる、戻るに決まっている」
アユカ「了解、N世界シフト開始します」
最後は、選んだ主人公によって異なる人物が「おかえり」と声をかける。 
「雷切」て、そこは雷神じゃないんかーい!! 
ユタカの機体もRXNであったというのも初情報ですが、なぜあえてタイトルを回収する絶好のチャンスを逃したのでしょうか……。
エンディングはチャプター32Aと32Bのどちらを選んだかによって変わるのですが、主人公が何か異なる選択をした結果として結末が変わるわけではなく、ユタカを撃破するまでの展開はまったく同じです。
また、鳴門ルナを選択して32Bをクリアした場合、なんと死んだはずのヒメノミが「おかえり」と声をかけてきます。何らかの力によって生き返ったという理由を付けることは不可能ではないとは思いますが、初めてプレイした場合「どうして生きてるんだ? 何か見落としたか?」と感じてしまいます。他の主人公を選んだ場合は登場しないので、なぜルナENDにのみヒメノミを登場させたのかも不思議です。

以上がストーリーのあらすじです。




問題点


いよいよ問題点をまとめていきます。ここまでの説明で赤字で示してきた部分は、特に重大であると思われる問題で、ここで詳しく解説していきます。

新しい情報を提示する際の基本が守られていない

気づいた方もいるかもしれませんが、全編を通して、新しい情報が登場した際、それが重要なのか、特に重要ではないのかが区別できないのです。それが、RXN雷神のストーリーが「頭に入ってこない」と言われてしまう最大の理由です
情報の媒体にもよりますが、アニメや会話だけで進行するゲームにおいては、その情報を聞いて、登場人物が驚いたり特に反応しなかったりする場合は「さほど重要ではない情報」や「重要だが既知の情報」であることが多く、登場人物が何か反応を示した場合は「重要な未知の情報」であることが多いです。
しかし本作においては、登場人物が特に反応を示さないのに「重要な未知の情報」であったり、登場人物が反応を示しているにもかかわらず「さほど重要ではない情報」である場合がかなり多いのです。前者は「マナねーちゃん」
「アユカがクローンであること」など、後者は「ギシキ」「ライトの自分ではない何か」などがその例です。そのため、多くのプレイヤーが頭の中で情報を整理できず、ストーリーの展開について行くことができません。ゲームだけでなく、物語を書く上での基本的なルールが、RXN雷神では守られていないのです
しかし、最初からそうだったのでしょうか?
RXN雷神は、チャプター毎の会話が長く、スキップもできないためテンポを大きく損なっていることが欠点としてしばしば挙げられます。でも、私はこれでも既にある程度会話を削除しているのではないかと思うのです。その過程で、削除してはいけないセリフを削除してしまった結果、今の頭に入ってこないストーリーになってしまったとは考えられないでしょうか。これについては後で考察します。

公式サイトを読んでいる前提で物語が進む

公式サイトのストーリーやキャラクターの欄には、本編のストーリーに関わる重要な設定が書かれています。「ウルカを野放しにして儀の観測点が開かれ続けると、全ての並行世界が繋がって世界が滅びてしまう」という、主人公たちが敵を倒す動機に関わる重要な情報が、本編ではどこにも書かれていないのです。 
確かに、長い世界観の設定をゲーム本編中に入れることは難しいかと思います。しかし「エースコンバット」や「スターフォックス64」のように、それこそ映画「スターウォーズ」のように、「ゲームを開始した時に世界観を説明する文章を流す」というような手があったはずです。これに関しては、ゲーム中に操作説明やゲームシステムの説明がないことも合わせて考えると、プレイヤーの視点でゲームを見ることができていないと言わざるを得ないです。

「渾天の儀」が出てこないのに「渾天の儀を確認」というセリフがある

チャプター5において「観測不能空間に巨大な渾天の儀を確認」というセリフがありますが、その先で出てくるボスはスーパーガジラです。また、チャプター11でも全く同じ会話が用いられますが、同様に渾天の儀は出てきません。チャプター14にも「渾天の儀かもしれない」という会話があり、これもチャプター20で再利用されますが、いずれも渾天の儀は出てきません。
嘘の情報が混じっているため「渾天の儀」が何なのかが全く分からなくなってしまうのです。これもまたストーリーが頭に入ってこない原因の一つです。
それだけではありません。タイトルが「観測点」となっているチャプターの会話の多くが他のチャプターの会話の使いまわしであり、チャプター9と同じ会話も3回使われています。後の考察でその理由を考えてみます。

並列しているはずのチャプターの物語が繋がっている

次のチャプターを進む際複数のルートを選択できる場合があるのですが、ストーリーが各ルートをまたがって繋がっている場合があります。最も顕著なのはチャプター21A、21B、21Cで、それぞれ「機は熟した」「ヤタガラス出撃」「最期の授業」の順で繋がっているのです。なぜこんなことになっているのか、これも後で考察します。

連載小説の内容が本編と矛盾している

「RXN連載小説」においては、アユカが「コアがあると気持ち悪くなる」と言って、RXN-808に搭載されたコアを取るようヒメノミに頼みます。コアには搭乗者のダメージを代わりに受ける役割があり、ヒメノミも「危険すぎる」と言いますが、「作戦には参加しないから」と渋々コアを取り除きます。
しかし、本編の序盤において、謎の黒い機体が現れた際、ヒメノミは「アユカねーちゃんのRXNも出そう」と言って、アユカを出撃させます。おいおい、ヒメノミもアユカも、自分たちでコア取ったの忘れたの!?
これは、本編に矛盾があるのではなく、連載小説の方に矛盾があるのだと思います。それでも、単に「アユカが出撃する」というだけの情報を見逃すとは考えにくいですが……

一部、ゲーム上の展開とセリフが一致していない

会話が始まると同時に敵が出てくるステージに顕著で、チャプター12Aでは主人公が「巨大なウルカなんていない」と言っているのに巨大なウルカが出てきていたり、チャプター6Bでは副長が「戦闘態勢に入れ」と言う頃にはもう戦っていたりします。

同じ敵を使いまわしている敵をごまかすための会話に無理がある 

ゲームシステムにも関わる部分ではありますが、当然のように同じ敵を使いまわした上で、「動きが全然違う」「強くなっている」と言われても困惑してしまいます。
確かに敵の耐久力と、敵の弾のダメージは上がっていますが、弾幕のパターンは変わっておらず、よける難しさも変わっていないため、より強くなった敵と戦っている実感は薄いです。同じ敵を使いまわすなら、せめて見た目分かる変化が欲しかったです。

地球を救うためのチームが、仲間を一人残して帰還?

チャプター23「決意と涙」において、「このままウルカの本体を追っていくと元の世界には帰れないかもしれない」という話になり、主人公は「今なら引き返せる、ここから先は私一人で行く」と言います。艦長は「生き延びなさい、これは命令よ」と言いますが、そうじゃないでしょう。危険を承知で地球を救うために向かったチームなのに、一人残して帰ってどうする。敵前逃亡じゃないかそれは。(厳密にはアユカも乗ってるので二人ですけどね) 

ルナENDでヒメノミがなぜか生き返る

ストーリー中盤でマナに取り込まれてしまったヒメノミは、後にヒメノミの乗っていた機体が破壊されていることが確認され、ほぼ確実に死亡していると思われます。しかし、鳴門ルナでチャプター32Bをクリアすると、仲間の通信の最後で、まるでそこにいて当然であるかのようにヒメノミが「おかえり」と言うのです。並行世界があるからとか、マナを倒したからとか、世界観に沿った説明はいくらでもできるとは思いますが、特に何の説明もなく、誰も驚きません。ルナ以外の主人公でクリアした場合は登場しないので、なぜここで登場するのか全く分からないのです。

その他

その他、小さな問題をいくつか挙げていきます。

セリフを一時停止・スキップできない

難解な部分ではゆっくり読みたいし、経験値稼ぎがしたいときはスキップしたいものです。戦闘中に会話が行われるシーンはともかく、冒頭やステージの終わりの会話はAボタンで進められるような形式にすべきだったと思います。
正直に言えば、メモを取るのが大変だったという個人的な理由もある。

特に必要のない、冗長な会話

ウルカと呼ぶ理由の説明や、「誰かが想像した物がまた出るのか」という会話、マナに精神攻撃をされた時の主人公のセリフなどがその例です。これらは全て、敵が出てくると同時に展開される会話であるというのが特徴です。他の説明不足な会話と比べて、内容がかなり冗長で、妙に詩的であるとさえ感じます。
しかし、見ようによっては「冗長性を持たせてあって理解しやすい」とも言えるかもしれません。

「君の名は。」ネタが二回も登場する

一回目はチャプター6Aをジンでプレイした場合の会話「『君の名は』とウルカたちに聞くわけにもいかないからな」で、二回目はチャプター10Aのタイトル「神の名は。」です。一回だけならゼルダBotWでもありましたが、二回となるとさすがにしつこい!
1月3日に「君の名は。」が地上波初放送されてましたね。映画館でも見ましたが、あれはやっぱりいい映画です。

「あの敵は博士と一緒に倒したはず」

チャプター27B、マナがボスとして再度出現した際のセリフです。主人公がヒメノミの手助けをしたから、ヒメノミはマナに取り込まれ、マナを倒したらヒメノミも死んでしまったのですから、主人公も少しくらいは責任を感じていてもいいはず。わざわざ「博士と一緒に」を言う必要はあったのでしょうか……。

「雷神」というタイトルは回収されない

最終チャプター、ユタカが自らの機体に名前を付けるシーンという絶好のチャンスで登場する名前は、なぜか「雷切」です。
しかし、リリース直前に公開された「RXN、出撃直前」というこの動画では、最後に「雷神」と言ったのはおそらくユタカです。

うーむ……「雷神」になるはずだったのに、どうしてもできなかった理由があったのでしょうか?

ラスボスの挿入曲が致命的に展開と合っていない

ユタカが第3形態になると「ワールド×ワールド」という楽曲が流れますが、この曲があまりにもミスマッチなのです。というのも、このシーンで主人公は感覚抑制を切って決死の攻撃を仕掛けているのに、「やっと見つけたよ」とか「World is mine」など、妙に明るい曲調の歌が流れるのです。良い曲だとは思いますが、使いどころをあまりにも間違えています。

ユタカを倒して終わりなのか?

ウルカのボスはマナであると思われますが、マナを倒しても終わりではないということは、マナはウルカの本体ではないということです。しかし、最後の敵はそのマナの残骸を「食べて」パワーアップしたユタカで、このユタカを倒すとエンディングとなります。
本当にこれで全て終わり……?

ユタカのセリフが全体的に聞こえにくい

些細なことではありますが、全編にわたって音量バランスの調整が不十分です。




考察


ストーリーを追ってみて問題点をいくつか挙げてみた結果、色々と考えられることがあります。

元々は完全な一本道のゲームだった

もしかすると、すぐに気づいた方もいるかもしれません。間違いなく、RXN雷神は、当初はエンディングまで完全な一本道だったのです。それも、今のようにストーリーに分岐を作ったのは、ほぼすべてのボイスを収録し終わった後です。
まず、「並列しているはずのチャプターの物語が繋がっている」のを問題点としてあげましたが、当然これは元々連続していたチャプターを分割したからでしょう。
また、分岐点にあたるステージの名前が全て「観測点」になっており、セリフが使いまわしになっているのも、分岐に理由を付けるためにステージを無理やり増やしたからです。「基底世界の揺らぎ」「エーテル値が反転」といった並行世界が生じている理由付けに使えそうな文章が出てくる会話を、分岐点で再利用したのだと思います。その結果「渾天の儀」という言葉が渾天の儀が出てこない場所で用いられることとなり、プレイヤーの混乱の原因になりました。
さらに、最後のチャプター32A、32Bも、元々一つのエンディングだけしかなかったのを、バッドエンドとグッドエンドに分割したものであると思われます。なぜなら……
(赤字はAエンド、青字はBエンド)
ユタカ 「これでやっと光の許へ行ける」→元々は「これでやっとヒカリの元へ行ける」だった
ユタカ 「なんだ、ヒカリ、ずっとそこにいたのか」

主人公 「これから先ずっと一人か」
アユカ「はずれ、ここには私もいるんだな」(原文ママ)
主人公 「アユカと二人きり、まあ悪くないか」オペレーター「RXNとのコンタクトに成功」アユカ 「本当にこのままこの辺を彷徨う?」主人公 「戻りたいに決まってる」
とすれば、ちゃんと会話が繋がるからです。そして、限られた予算と時間で作れるエンディングを考え、声優さんを一人だけ呼んで、バッドエンド後の「二万年後に地球上空に帰ってくる」というシーンを作った。
実に巧妙です。気づいたときにはかなり驚きました。 
昨今のゲームの評価においては「自由度」は非常に重視されます。何も本筋から外れたことができないと「リニアなゲーム体験」と批判されてしまいます。だから、そうならないよう、ボイスの再収録をしないで済む範囲でストーリーを分割し、自由度があるように見せたのです。前に見たボスとの再戦などは回避できるようにもなっているという良い面もありますが、本来一本道のはずのストーリーが分割されてしまっているという悪い面も大きいです。
しかし、ギリギリになって後からこんな細工をするぐらいなら、最初から自由度を考えた上でゲームを設計してほしかったと思います……。

テンポを良くするために一部のセリフを削除してしまった


やはり「新しい情報を提示する際の基本が守られていない」のは、会話が長すぎると感じて、セリフを無理やり削除したからではないかと感じます。
プロの脚本家が関わっているにも関わらず、こんな初歩的なミスを犯すとは思えないのです。新しい情報が提示された後には主人公が驚く会話があったように思えますし、「最後の授業」の会話など、微妙に会話の繋がりが不自然に感じる部分もあります。
何より「特に必要のない、冗長な会話」を小さな問題点として挙げたように、戦闘中に会話が流れる「ウルカと呼ぶ理由の説明」「エーテルの説明」「N世界シフトの説明」など、短くする必要のないシーンでは、やや冗長ではあるものの、比喩などを使って丁寧に説明しています。本作の脚本家は、本来であればこのような分かりやすさを心掛けた文章を書くタイプに思えるのです。 
チャプター開始時の会話が長すぎることについては、開発者も気づいたはずです。それを、可能な限り短くしようと、後から手を加えてしまった結果こうなった可能性は高いと思います。
これらのセリフを省略しなかった場合、今以上に「会話が長すぎる」という批判を受けていたと思いますし、ストーリーが分からないのと、どちらを選べと言われたら悩ましいところです。
それでもやはり、多くの人は会話が長いと感じると思います。
この手の問題は往々にして「これでも良くなった方だ」という段階で開発者や「その環境に慣れた人」が満足してしまうことが多いと、個人的には思うのです。
私は完成したRXN雷神に初めて触れたので、Aボタンで会話を早回しできるようにするなど、もっと会話を短くする必要があると思いましたが、開発の初期段階からこのゲームをテストプレイしてきた人には、会話を短くする必要性は見えていなかったのかもしれません。 
そもそも、これだけ大きな世界観を、各チャプター間の会話だけで説明しようというのはやはり無理があったのではないでしょうか。ノベルゲームのような会話だけが行われる、説明用のチャプターがあってもよかったと思います。
むしろ、当初はそれを想定して作っていたようにも思えるのです。本編中では顔の部分だけを四角く区切った画像だけが使われていますが、オープニングを見る限り太ももから上ぐらいまでの立ち絵がちゃんと用意されています。この立ち絵はノベルゲームのように左右に人物が立って会話するシーンを想定して作られていたかもしれないというのは、考えすぎでしょうか?

前日譚の作品を作る構想がある

これに関してはあくまで想像に過ぎないですが、ありえる話だと思います。
本作のストーリーのバックグラウンドには、マナとユナの戦いの始まるかなり壮大なストーリーがあります。また、ヒメノミやアユカ、ヒカリに関するストーリーなど、作中で意図的に回収していないと思われる謎が複数あります。
悪い意味ではなく、とても高い理想を持って作られたゲームなので、「RXN雷神が成功したら、前日譚にあたるゲームも出したい」という夢を持っていたとしても不思議ではありません。
現状の評価では続編は望み薄だとは思いますが、できることならどのような形であれ前日譚を見てみたいとは思います。





いかがだったでしょうか。
まさかこんな長文になってしまうとは思ってもみませんでしたが、別にすごく怒ってるとか、開発者をバカにしてるわけでは決してないです。
豪華な声優やデザイナー、イラストレーター、書家などを呼び、今までにない新しいゲームを作ろうと挑んだ開発陣の情熱は間違いなく本物だったと思います。だからこそ、本気で情熱を注いだはずのゲームが、どうしてここまで酷評されるものになってしまったのか気になったのです。
RXNのTwitter公式アカウントも、リリース前の積極的な動きはどこへやら、ずいぶん静かになっています。本気で挑んでいたからこそ、酷評されたことに本気でショックを受けている証拠だと思いますし、なんともいたたまれない気持ちになります。

ここまで調べてみて、RXN雷神というゲームにすごく愛着が湧きました。クソゲーだという評価はゆるがなかったけど。

なぜ「頭に入ってこない」のかという疑問の答えが分かっただけでも、考察に挑んだ価値は十分にありました。
それから、ストーリーの問題を調べるために何度も色々なステージをプレイしたことで、最初にプレイした時には気づかなかったシステム面の問題も見えてきました。気が向いたらまた別にまとめてみるかもしれません。


最後に余談ですが、ボス戦とかで出てくる、オレンジの経験値出す硬い敵と、緑の経験値出さない硬い敵がいますが、実は壊せます
終盤のステージのは厳しいですが、序盤のステージのならレベルカンストしたルナのYショットなどであれば簡単に壊せるはずです。ぜひやってみて下さい。

それでは!